+Sariel+
男の、服のすそを掴んだ。
彼は、嬉しそうにニッと笑った。
「さぁー!!何からしよっか♪」
ギンが、長袖をまくった。
まくって、意気揚々と真っ直ぐとUFOキャッチャーのものに歩いてく。
「さぁアズサちゃん!!何が欲しい?!
なんでも取ってあげるよ!!」
自信満々に、ギンがあたしを振り返って言う。
・・・なんでもって言われても。
10台ほど並べられたUFOキャッチャーを、あたしはゆっくりと順に見て回る。
「・・・んじゃあ、これ」
5分後。
あたしは真っ直ぐとそれを指差した。
男が、覗き込む。
指の先には、真っ黒な猫のぬいぐるみ。
本物の猫と同じくらいの、真っ赤なリボンを首につけた、目の大きいぬいぐるみ。
「おっしゃぁっ!!俺が取ったる!!」
適当な方言でギンが言って。
ポケットから小銭を取り出した。
機械の中に、入れる。
チャリンッと微かに音がして。
機械が楽しそうにメロディを奏でだした。