+Sariel+



男の、服のすそを掴んだ。

彼は、嬉しそうにニッと笑った。



「さぁー!!何からしよっか♪」



ギンが、長袖をまくった。
まくって、意気揚々と真っ直ぐとUFOキャッチャーのものに歩いてく。



「さぁアズサちゃん!!何が欲しい?!
 なんでも取ってあげるよ!!」



自信満々に、ギンがあたしを振り返って言う。



・・・なんでもって言われても。



10台ほど並べられたUFOキャッチャーを、あたしはゆっくりと順に見て回る。




「・・・んじゃあ、これ」




5分後。
あたしは真っ直ぐとそれを指差した。
男が、覗き込む。

指の先には、真っ黒な猫のぬいぐるみ。

本物の猫と同じくらいの、真っ赤なリボンを首につけた、目の大きいぬいぐるみ。




「おっしゃぁっ!!俺が取ったる!!」





適当な方言でギンが言って。

ポケットから小銭を取り出した。


機械の中に、入れる。
チャリンッと微かに音がして。

機械が楽しそうにメロディを奏でだした。



< 38 / 90 >

この作品をシェア

pagetop