+Sariel+
「嫌いなの」
あたしは呟く。
男が、あたしを見た。
窓から入ってきた風に、金髪が揺れる。
「・・・家が??」
「そう」
「なんで?」
「なんででも」
おかしそうに、眉を下げて男が笑う。
「あんた、いいね。本当、いいよ」
その言葉に少しイラついて。
あたしはふぅっと深呼吸をした。
そのまま、台所に向かう。
・・・一応、お客さんなんだし。
冷蔵庫を開けて、キンキンに冷えた麦茶を取り出した。
乾燥機の中に入っていたグラスを二個、取り出して。
その中に流しこむ。
台所からは、居間が見えるようになっている。
あたしは、金髪の男を見た。
男はドカリと、さっきまであたしが寝ていたソファに座る。
・・・緊張感の、欠片もない。