+Sariel+
「・・・あり、がとう」
ぬいぐるみに顔をうずくめて。
ボソリと呟く。
それから、ほんの少しだけ隙間をあけて、ギンを見た。
ギンは少し驚いた顔をして。
にっこりと笑った。
「どういたしまして♪
あ、俺、トイレ行くけど。
ここで待っててよ??
いなくなっちゃぁ、駄目だからね」
ギンの大きな手が、あたしの頭をポンポンとたたいた。
あたしは頷く。
それを確認すると、ギンは背中を向けて、トイレへ行った。
・・・優しいな。
心の中で呟く。
あたしみたいな奴を、ちゃんと人間として扱ってくれる。
そんなの、久々で。
嬉しくて照れくさくて、どう反応していいのか分からない。
あたしは、黒猫の瞳を覗き込んだ。
優しい優しい、その瞳を。