+Sariel+
「・・・どうぞ」
グラスを二つ、両手に持って。
居間に戻る。
そして、右手で持っていたグラスを男に差し出した。
男はあたしを見て、黙ってグラスを受け取る。
それからそのまま、麦茶を一気飲みした。
「・・・ふぅー・・・」
男はため息をついた。
あたしは向かい側のソファに座って。
やっぱり、男をじっと見る。
最初は窓の外を見ていた男も、あたしの視線に気がついて。こちらを見た。
「・・・あたし、あんたのことなんて呼べばいいの??」
「ん??・・・いつも通り、ギンで良いって」
ギンって言うより、キンなんだけど。
そう言おうとして、止める。
下手なことは、口に出さない方がいい。
「俺も、アズサちゃんでいくしね。
・・・本名なんて、しらなくったっていいでしょ」
・・・この男と知り合ったのは、7日前。
場所は、有名な・・・自殺サイトの中だった。