+Sariel+
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「・・・ねぇ。
Sariel(サリエル)って知ってる??」
一緒に床に寝転んでいたギンが、ボソリと呟いた。
あたし達はあれから、ずっとこの部屋で時を過ごした。
何をするでもなく。
ただ、じっと。
何かを待つかのように。
いつの間にか、日は落ち。
夜が訪れていた。
まだ、未完成な月が、あたし達をじっと見下ろしている。
「・・・知らない。建物か何か??」
あたしは寝転がったまま、首を右に向けてギンを見た。
ギンは、じっと天井を見上げていた。
「天使の名前。
・・・死を司る、天使」
死を・・・司る。
その響きがあまりにも綺麗で。
あたしは声を出さずに、呟く。
「・・・この部屋に住んでいた人が、言ってたんだ。
サリエルは、いつもあたしの傍に居る。
あたしの命を狩ろうと、狙ってるって」