+Sariel+
「・・・駄目だからね、殻に閉じこもっちゃ。
アズサちゃんが踏み出せば、世界は変わる。
無理はしなくていいから。
少しずつでいいから。
自分の世界を変えていって。
待ってるだけじゃ、駄目なんだよ。
どんなに辛いことがあっても・・・アズサちゃんの周りには、たくさん味方がいる。
アズサちゃんが一歩踏み出せば、味方はどんどん増えるし。
世界は何色にでも塗り替えられる。
・・・だから」
嫌だよ・・・。
ギンが味方なら、それでいい。
あたしは死なないから。
自分が生きたがってることに気がついてしまったから。
もう、死のうなんて勇気はないから。
だから・・・ギンも死のうなんて考えないでよ・・・。
傍に、いてよ。
「・・・踏み出すことを、忘れちゃ駄目だよ。それと、俺のことも」
ギンが、あたしに背を向けた。
「俺が全部、もって行くよ。
アズサちゃんの辛い過去も、全部全部。
だから、アズサちゃんは生まれ変わって。
新しい自分として、生きていくんだよ」
ギンの左手が、フェンスをつかんで。
そして、彼はこちらを向いた。
いつもと変わらない、笑顔で。