halfway <短>
シュンペー、川島君、野球バカ……
彼は、たくさんの名前を持っていた。
そしてそれは同時に、彼の人気の象徴でもあった。
だけど、たったひとつ……
私は知っている。
この世で、ただ一人の唇から彼に届けられる、愛しき呼び名があることを――
「シュンちゃん!」
はためくミニスカートの隙間から覗く、真っ白な足を弾ませて、
彼女は今日も“シュンちゃん”の元に駆けてくる。
この二人の間にある関係が、どんなものであるのか、私にはよくわらない。
ただの幼馴染だとか、本当は付き合ってるとか、彼女の一方的な片思いだとか……
冷やかし半分や、悪意のあるウワサを耳にすることはあるけれど、
真実がどうであったとしても、結局のところ、私には関係のないものだった。
それは、どれを信じるとか、信じたいとかいう問題ではなく。
だって、彼と私の間には、彼女の存在が影響してくるような繋がりなど、
ひとかけらも、存在していないからだ。