halfway <短>
愛のような
閑寂とした放課後の教室。
グラウンドに面した窓のある、2階のこの場所。
マジメだけが取り柄の私は、勉強なんて都合のいい理由を付けて、
窓際の特等席から、泥まみれで白球を追いかける彼の姿を、いつも見つめていた。
飛び交う掛け声。
舞い上がる砂埃。
ガラスたった一枚で隔てられただけの向こう側は、
夕日の赤と、絶対的な静寂に包まれた私の居る場所とは、別世界のように思えた。
四角い窓枠は、まるでスクリーンみたいで、私は、ただ映画を見る時のように、
ひたすら、傍観者でいる気持ちだった。
けれど、そうであったからこそ、私は彼だけを、ずっと見つめ続けられたのかもしれない。
そして、そのスクリーンの中には、そんな彼と同じ場所から
彼を見守り続けている、真っ直ぐな目があることを、私は知っていた。