題 未 定



高橋のキスは優しい。
すごく優しくて暖かい。
あたしをぎゅっと
してくれるときも
何だか柔らかく包んでくれる。
あたしの心も
そっと包んでくれる。


あぁ。この人となら
大丈夫かもしれない。

付き合って1ヶ月。
何度も思うけれど
思わず自分にブレーキを
かけてしまう。



今日も高橋は
優しいキスをあたしにくれる。

ねぇ高橋。

ねぇ高橋……。

ねぇ…。


ねぇってば。


苦しいんだって!


ワイシャツを引っ張る。

ヤツは気付かない。
あたしを殺す気だろうか。
こうなったら強行手段。
握っていた高橋のワイシャツから
両手を離し
高橋のほっぺたを
おもっいっきり挟む。

パチリといい音がした。
タコさん、こんにちわ。

「いだい。わうぉいちゃ…。」

タコの口のままなので
上手く喋れてない。

「苦しい…のっ!」
手を離してあげた。


んも~乱暴だなあ…。
なんて言いながら
エナメルをしょって
部活に行く準備をする高橋。


あたしは再び席に座って
問題を解きはじめる。


「葵ちゃん。はい!リラークッス。肩の力抜いて~目を閉じて息を吸って~。」

言われた通りに
目を閉じて息を吸う。



思いがけず
口に柔らかい感触を感じて
思わずパッと目をあける。


「んふふふ。行ってきます。」


「い…行ってら…。」



やられた。

やられたぜ。


高橋アンタ
カッコいい…。







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