題 未 定




ナースステーションに寄って
部屋の番号を聞く。
一番奥の部屋まで
足音をたてずに
ゆっくり歩いた。

ドアの前で立ち止まる。
青いリンドウを見つめる。おばあさんが別れ際に
言った言葉を思い出す。


『花言葉は…』


″あなたの悲しみに寄り添う″




大きく一つ
深呼吸した。
目を閉じる。

あのひと夏の思い出が蘇り
足元がぐらつく。



だけどもう
逃げない。
逃げてはいけない。
俺に逃げ場なんてない。

受け止めなければならない現実。
どんなに辛くても
俺は全部
受け止める。



静かにドアに手をかけた。


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