題 未 定


パチンと携帯を閉じ
大きくため息をついた。



「おー啓哉ー!今から葵とアイス食べるんだがおまえも行くー?」


「高橋のおごりなの。ね?」



やかましい二人が来て
心と空気にギャップを感じる。
別れとアイス。
片想いと……両想い。



「ん~いいわ。お二人で行ってきな~。」


「「そーお?」」

二人の声が重なる。



やんややんやと言いながら
二人が去っていった。

いつの間にか皆もいなくなり
何分か前のうるさい下駄箱とは思えないほど
静かな空気に包まれる。



女のために女と別れた。
こんなの始めて。
その女には男がいて。
それも初めて。


「俺なにしてんだろ。」



ふいに前付き合ってた女と
見に行った映画のワンシーンを思い出した。


『人を傷付けた事に、自分が傷付いていることに……気付かないふりをして来た。』


何て言われるんだっけ。この後。


『あなただけじゃない。人は傷付けあって生きて行く。だから……』



「その分愛したい、愛されたいと。強く願うもの……。だっけ?」


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