題 未 定
「それでーもー野口くんって言うんだけどーちょーカッコいいの!!なんか天然なのにー凛々しくてーお水運ぶだけで超かっこいいの!!あーもうどうしようっ!!」
ただでさえ駅までの道のりは暑いと言うのに
那奈が頬を赤くして
やかましく騒ぎ立てるのであたしの体感温度は
人よりも2、3度高いんじゃないかと思う。
ちなみに今聞かされているのは
那奈が最近始めたバイト先の野口君とやらの話。
なんでも彼はこの辺りにある男子校に通っていて
那奈いわく
お水運ぶだけで超かっこいいらしい。
「ななちゃん。行っちゃいなさいよ。」
那奈の手を握り
その手をポンポンとたたく。
「行くって…姐さん…」
「果てるまでよふふふ…。」
「それも有りかな…。」
空をうっとり見つめる
那奈を見ると
だいぶ本気らしい。
と思ったら突然
那奈が視界から消えた。
えっ??あ!!那奈??あれっ??
後ろを向くと
那奈ともう一人が
コンクリートに座り込んでいた。
「いったーい!!」
「那奈大丈夫??」
顔をしかめて
腰をさする那奈をみてから
もう一人に目を移す。
「大丈夫ですか?」
しゃがんでうつ向いている顔を覗き込む。
「あ…すみません。大丈夫…です。」
目があった瞬間息がとまった。
……あの人だ。
え…?同じ学校?