題 未 定
「いいなーこんなとこでバイト出来るのー!」
外観もすっごくおしゃれだし
制服もなかなか大人っぽい。
お店に来る人も
落ち着いた人ばかりだし。
「でしょ~ダメ元で面接行って良かったよーあ、茂野さんこんにちは!!」
コーヒーの良い香りが立ち込める店内には
すごくダンディな
男の人がにこやかに立っていた。
「おー那奈ちゃんとお友達!いらっしゃい!那奈ちゃん今日は入ってないよね?」
わー声もすごいダンディ。
ダンディ茂野?
「はい!!学校の帰りなんです。」
ダンディ茂野は
那奈がちらりと厨房の方を見たのを見逃さなかった。
「野口君なら来てるよー?」
意味ありげな笑みに
さすがの那奈も顔を赤くしている。
可愛いとこあるじゃない。
後ろでクスリと笑った私にでこぴんする所が
那奈らしい。
「野口君ーお客さん案内してー!」
はーい。とさわやかな笑顔と共に厨房から現れた野口くん。
横目に那奈をみると
少しうつむいてはにかんでいる。
野口君をみてみると
こちらも那奈とまったく同じ顔をしていたので
思わず顔がにやけてしまった。
「あっ那奈ちゃん珍しいね。」
「野口君もこんな時間に。」
「あ、うん。今日学校休みだから。」
あーーもうっ!
まどろっこしいよっ!!
でもこんな那奈初めてかも
いっつも余裕かましてるくせに。
「今日何時までなの?」
「あと30分くらい!じゃあオーダーの方を…。」
向かいに座っている那奈と目があった。
「ごめん那奈!今日親に早く帰って来てって言われてるんだった!!」
腰を浮かしてそう言うと
那奈が口をぱくぱくしている。
「あ、じゃあ那奈ちゃん。良かったら一緒に帰ろう?」
よしっ野口君やるじゃん!
「じゃーねー!!」
「ありがとうございました。」
ドアを押すと
外の熱気がむわんと
体を一瞬で包んだ。
夕方とはいえ、9月の残暑は厳しい。