題 未 定


再び携帯を耳に押し当てる。

「ごめん!!」
「大丈夫??なんかあったの??」
「いやカバンの中身ばらまいちゃって。」
「まったくあおちゃんはー。いまどこ??」
「那奈のバイト先から帰るとこ。」
「おー気を付けてねー!!じゃー家ついたらまたメールするわ。」
「うん。じゃあね。」

ぴっとボタンを押し
にこやかに笑って私の筆箱を差し出す
スニーカーの彼に目をやる。

「あっどうもありがとうございます!!」

あれ…さっき久しぶりとか言ってた…??

頭に手をやって短い髪の毛をグシャグシャするスニーカーの彼。学ラン来てるしうちの学校じゃない。

「参ったな…まぁ当たり前か!!」

「えっ??」

「学祭の時会ったんですけど…あの…。」

「ああっ!!ミラクルしゅーとの…まさきくん!!久しぶり!!」

「いや、雅人っす。お久しぶりです。」


「はっ!!ごめん。雅人くん雅人くん。」

「ハハッ。先輩元気ですか?」
「うんうん。もう毎日うるさくって!!」

「でしょうね。でもカッコいいですよね。」

「まあね~ははっ。雅人くん学校の帰り?」

一瞬雅人くんの目が泳いだ。
聞いちゃまずかったかな…。

「あっいやっはは。」

突然キョロキョロしだす雅人くん。

「待ち合わせかな??」

真っ赤な顔がこっちを向く。

「じゃあ失礼しますっ!」
「ありがとねー!!」

ちょうどターミナルに
バスが来たようだ。
バスから降りてきた
小柄な女の子に雅人くんが駆け寄った。


「皆いいな。」


駅の明るい光のほうに
足を向けた。



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