題 未 定


「ただいま~」

ひんやりした玄関で靴を脱ぐと
リビングからお母さんの
返事が無いことに気付いた。

『橋本さんと出掛けてきます。お父さんと睦月をよろしくね。お母さん』

なーんだ出掛けてるのかー。
今日はなんだか
構ってくれる人がいない。

制服のまま
リモコンを手にとって
ドサッとソファーに座ると
大きくため息を付いた。
時刻を見ると6時半を回っていた。

遅いな愁斗…。

明日の天気予報を聞きながら
センターにメールを問い合わせる。


…来てないや。

そばにあったクッションに顔を埋め
足をバタバタする。

最近自分はフワフワしている気がする。
授業中も休み時間も
那奈と居るときも
愁斗と居るときも。
きっと季節の変わり目だから
そう思っていたけれど
なんだか違う気がする。
落ち着かない。なんなんだろう。
こんな時隣に愁斗がいないのは
やっぱり寂しい。


そうしているうちに
段々眠くなってきて
ニュースキャスターの声が遠のいて行った。





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