題 未 定
「じゃあまたね。」
「うん。明日。」
「……。」
「愁斗??」
珍しいな黙るなんて。
「しゅう…」
「大好きだよ」
「ふふふ。」
思わず赤面してしまう自分。何回聞いても恥ずかしい。
「じゃあね。」
「うんまたね。」
携帯を閉じたと同時に
お兄ちゃんがリビングに
入ってきた。
「もうっお兄ちゃんヤダッ!!」
ここぞとばかりに
睨み付ける。
「あー怖い怖い。だって邪魔しちゃ悪いし??てゆーか母さんはー??」
スウェットのすそをあげながら
冷蔵庫をあさる高橋睦月26歳。
「橋本さんと出掛けるって~。はーあ。」
「そんなに俺と二人が嫌か。」
くるりと振り向いたお兄ちゃんが
怪訝そうな顔を見せる。
「べ~つ~にぃ~。」
ぷいっと横を向くと
窓に自分が移った。
あ、制服のままだった。
「いいな~彼氏ぃ~わたしも欲しい~。」
殺してやりたい。
お兄ちゃんは愛想が良いしルックスもまぁまぁだし
結構モテるらしい。
しかし女の人が
このふざけた性格を知っているのかと言ったら
答えはノーだ。(そうに決まってる)
あえて何も言わないで
眉毛を下げて
首を左右にふった。
「妹よ…炒飯でも食べて機嫌を直したまえ。ああなんて妹思いな俺…ってどこにゆくっ!!」
「着替えてきまーす。」
愁斗はお兄ちゃんに似てる。
悔しいけど。
あぁ今日も聞けなかった。
今日も会ったあの人の事。
階段をのぼりながら
手すりを掴んでうなだれる。
もうずっとこんな感じだよね。
元カノかな
とか
ただの知り合いかな
とか
色々考えたりしてみたけど
気分が沈むだけで。
いざ愁斗の声を聞くと
聞けずに終わってしまう。
そうだきっと
こんな風に考えてしまうのは
最近二人の時間を
ちゃんと作れていないからかも。
明日、部活が終わるのを待って
ちゃんと目を見て聞けば
愁斗はきっと
優しく答えてくれる教えてくれる。
友達だよ。あおちゃんは心配しなくて良いの!!
って。