題 未 定
そのあと高橋は
あたしの髪の毛を
クシャクシャとして
「しっかりやれよー?」
といって
阿部くんの所へいってしまった。
一人プリントと共に取り残され、溜め息をつく。
髪の毛をそっと触る。
そこにはまだ高橋の温もりがあるみたいで
幸せな気持ちに包まれた。
手元のプリントには
意外に几帳面な綺麗な字で書かれた愁の文字と
彼が書いたあたしの似顔絵。
ブタだし…。
彼の方をみて
すこし膨れてみる。
これが…好きって気持ち?
あたし
高橋が好きなの?
あたし高橋に
恋してるの?
この時あたしは
まだたったの15歳で
彼も同じ15歳。
あたしは彼の何を知っていたのだろう。
あたしは彼の言葉の深い意味さえ
知らなかったと言うのに。