題 未 定

どうして



「お疲れした。」

スパイクを履き替える
キャプテンに声をかける。
「おー。お前ミーティングはー??」

「あ、すみません抜けていいすか。ちょっと用事あって。」

腕時計に目をやると
6時をまわっていた。

やべーな時間。15分には電車乗んないとな。


「そっかOK!あ、もしやあおちゃんとやらとデートか??それなら断じて許さんっ!!俺によこしなさい。あおちゃんとやらを!!」

「嫌です。」

にっこり笑って答える。

「このやろう。」

キャプテンの
倍返しの笑顔に思わず後ずさる。

「じじゃあ、失礼します。」

「おーくれぐれもあおちゃんによろしくな~」

「ういーす。」



足早に校門に向かう。


2週間ぶりか。
たまに亀井からリハビリの経過などは聞いているが
あれ以来彩とは会っていない。
あの日俺の中で
確かに何かが崩れ落ちた。
何がショックだったのだろうか。
彼女が俺の記憶を失った事だろうか。
それが俺のせいだからだろうか。

違う。もっと大きな力が
俺を突き放した。

頭痛がする。
考えたくないのに
なぜ俺は会いに行くんだろう。

どうして考えてしまうんだろう。



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