闇孤児院
...2
作業を終えるとしだいに
雨が強くなった。
そして目の前には殺し損ねた
少女がいた。
不覚にもぼーっとつったってしまい
少女に気づかれてしまった。
雨なのだろうか・・。
いや、涙か。
頬がぬれていた。
雨だと思うのが普通だろうが
何故だか涙だと強く思った。
「…死神さん?」
少女の声は今にも消えそうで
高い声だった。
「…。」
「いつ・・殺してくれるの?」
少女の問いに驚きはしなかった。
「…。」
「…。」
沈黙がつづいた。
「名前は?」
名前?名前とは・・番号のことだろうか。
「Gi1974」
「死神さんは皆そんな名前なの?」
少女が微笑んだ。
いつもみてきた悪魔の笑みとは違う
天使の笑みだった。
「私わね、あんなって言うの。
本当は名前を言ったら奥様にしかられ
ちゃうんだけどね。
だから秘密だよ?」
そういってあんなは悲しそうに笑った。