闇孤児院

「ねえ、おじさん。」

男は勢いよく振り向いた。
「・・?!」
後ろに人がいたことに気づかなかったらしい。
だけどもう息をすることなどない。
だからそんな疑問さえも闇に
もって帰ってもらうしかない。

ポ・・タっ・・

赤い雫が心をおおった。

心などないのかもしれない。

男をじっと見つめた。
『生』のないその瞳で。
血のかよらない悪魔の瞳で。

< 5 / 22 >

この作品をシェア

pagetop