その赤薔薇を手折る時
アスカは笑わず墓地を見つめつずけている。

「真面目に答えろ。」

「・・・・。心を殺してなにも感じないからですかね。」

っつ!

アスカは眼を見開きルインを見る。

心を殺す?

「アスカ様はなぜ笑わないのですか?」

「なにを・・・」

「笑えないのですか?」

なっ!!

アスカはますます困惑した。

僕のなにがわかる!?

「アスカ様はまだ15歳です。なのに子供のにおいがしない」

ルインの目はもう笑っていなかった。
冷たく、なんでも見通しているかのような鋭い目でアスカをみていた。

「だまれ・・・」

「笑いたいですか?」


「なにをいって・・・」

ルインの手がアスカの頬に触れる。

「心から笑いたいですか?」

気がついたときにはアスカは椅子から立ち上がりルインの手を押さえこんでいた。

ルインの体をはねのける。

椅子が倒れるおとが響いた。

「黙れといっている。」

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