その赤薔薇を手折る時
朝食も終わり、アスカは一息ついた。
執事との触れ合い。

こんなに難しいものなのか?

「おい」

「はい?」

食べ終わった後片付けをしながらルインは答える。

「執事って食事まで作るのか?」

「さようです。食事以外にも、家事はすべてこなし、主人の仕事の手伝い、お客様の御持て成し、庭の手入れ・・・いうなれば執事は主人の世話役ですね。」

「いたせりつくせりだな」


ため息まじりのアスカの言葉にルインはニッコリする。
食器をそろえワゴンにのせる。
ボード家じきじきの紋章いりの食器だ。



「まだ未成年の主人ならば、マナーや勉学もお教えいたします。」

「ま・・・マナー・・・。」


「では、」


ガラガラという音とともにワゴンを引いてルインは出て行った。

黒い髪に、グレーの目。

どこか懐かしい。


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