その赤薔薇を手折る時


「君はこの屋敷の者なのか?」


「・・・・そうだ」


男はふっと笑って笛を肩にかけた。

金色の髪が風になびく。



「なら屋敷の主人に言っておけ、毎晩弾くお前のバイオリンほどじゃないと」

「なっ!」


「あのバイオリンはどこかおかしいのか?音がはずれている。」


呆気らかんとしゃべる男をポカンとみつめるアスカ。



こんなこと言われたのは初めてだ。


「お・・おまえ!名前はっ?」


「俺か?」


男は顔を上げ二ヤリと笑いかけた。

「笛吹きのカールマンだ」



カールマン・・・。



「そうか、覚えておこう」



「ああ」



「ついでに、」


「?」







アスカはカーテンを引っつかみ悪魔のような微笑を返した。


「主人にも言っておこうバイオリンの音がサイヤクだと」
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