その赤薔薇を手折る時
裏口の方からの大音。

太陽に反射され光る硝子の破片。

侵入口はいったいどこだ?

ルインは硝子の一番多い場所まで走り、辺りを細かく見渡す。
すこしの異変も見逃さず。




「いったいぃいいいいぃい!!!!」


  「!」


男の悲鳴のようなだみ声がルインの真上からふってきた。

うすっらと冷や汗を流し上を向く。



「あたあたたたぁぁぁぁいい!!!!」


「なっ!」



そこには窓から侵入しようと窓枠に足をかけ半部落ちそうになっている男がいた。

黒のサングラスをかけた金髪の30代男性。

足がつったのか顔を引きつらせて固まっている。




おまえ!そこでなにをしている。」


男はルインの声に真下を見る。

あきれた顔の青年が燕尾服を身にまとい腕をくんでこちらを見上げている。





「そ・・・そこの兄ーちゃん!!ちょっと手ぇかしてくれぇぇ!!」
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