その赤薔薇を手折る時


かいぞくせん。かいぞく船。海賊船。


ルインの顔がおもいっきり引きつった。

アスカが活き良いよく立ちあがる。


「お、お帰りいただけっぇ!!」


「まって、まって、まって!!」




真っ青なアスカの袖をつかみ男が引き留めた。

泣き出しそうな子供の目でアスカを見上げる。

うっとアスカの息がつまった。



「あんたは海の男の料理がどれだけウマいかしらないなぁ!?」


「は・はなせぇ!」


「坊ちゃん!」


ルインが止めに入ったが男は引き下がらない。




「海賊料理はなぁ、海の男という印だ!今の金持ち成金は洗脳されたご馳走に舌が肥えて本当のご馳走というモンがわかっちゃいないんだぁ!!」




「僕はそんなに舌は肥えていないぃ!好き嫌いがあるだけだぁ!」


必死に抵抗するアスカにルインの冷たい言葉がふりかかった。


「りっぱに肥えてらっしゃいます。」



「だまれぇぇぇ!!」



細身の体でめいいっぱい振り乱すアスカ。


「本当にお願いだぁぁぁ!!海の男にしてやるから!ただの金持ちじゃなく、海の金持ちにしてやるからぁぁ!!お願いだぁあ!!」



「んなもんなりたくないわぁぁぁあ!!」



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