その赤薔薇を手折る時


「素敵じゃないですか坊ちゃん。ついでに海の王者にでもしてもらいなさい。」


冷静なのかヤケクソなのかわからないルインが口をはさむ。


「お前はどっちの味方だぁあ!!」


ブンブンと男がつかんでいる袖をふり乱し、真っ青な顔のアスカが叫ぶ。

絶対絶命大ピンチ。

とは、このことだ。


ああ、いっそのこと貝になりたい。


などとアスカが思ったその時だった。




「わかった!!」




ぱっと男の手が離れた。


つり合っていた力が抜けアスカの体は前のめりに倒れていく。


「っあ!」



ぱさっ・・・。



アスカが倒れる前にルインが抱き止めた。

素早い判断力のルインに尊敬する。


「おケガは?坊ちゃん?」


ふわりっと優しげな声がふりそそぐ。


「だ・・・大丈夫だ」




「俺っ!」



二人のやり取りの中、男が声を発した。


アスカはルインに助け起こされ男に向き直る。





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