その赤薔薇を手折る時
「いったいどういうつもりだ?!」
新しい使用人の男、アルファートを厨房に案内し終わったルインにアスカが詰め寄る。
料理人として働くことを許されたサングラス男のアルファートは感謝感激の中、自分がこれから働く場所と道具を視察している。
料理人として。
海賊船で働いていたというアルファートは屋敷の一料理人としての自覚をきちんともつため、これからボード家の屋敷で暮らすこととなった。
「といいますと?」
手袋を脱ぎ、ルインは部屋のドアを閉めた。
暖炉の火が小さくなっている。
「あの男を雇ったことだ!」
足を強くくみ、椅子の上からギンとにらみをきかす。
アルファートに掴まれていたアスカの右袖がくしゃくしゃになっている。
ルインはふっと微笑み、アスカの横に立った。
手でアスカの袖を直す。
「何をおっしゃいます?アルファートを雇うと賛成なしゃったのは貴方様でしょう?」
丁寧に、あくまで優しく言い聞かせるようにルインが問う。
アスカの眉がつり上がった。
「あれは!お前が言ったから、僕も賛成するざるおえなかったんだ!元のガンはお前なんだからな!」
「子供のような理由ですね。」
「なんだと?!!」