その赤薔薇を手折る時


封筒を拾い上げ、汚れを叩きおとす。

裏返してみてみるとなにか文字が書いてある。


「仮面舞踏会・・・・。」


たしかにそこには仮面舞踏会招待状と流れる筆跡で書きしるされてあった。


「仮面・・・」




「ルイン。明日の予定は?」



椅子に踏ん反りかえりアスカが問う。


叱られたことにふて腐れ意地悪な顔になっている。



「あ・・・ああ、そうですね」


ルインは封筒から視線を外しアスカを見た。


素早く封筒を背広のポケットに入れる。



手をさっさとはらい手帳をとりだす。

アスカの予定が書き込まれている大事な手帳だ。


真っ黒の革の手帳をめくり読み上げた。



「明日はこれといって催し物はありませんが・・・健康診断がありますね。」



「・・・健康診断・・。」



「はい、年に一度の大切な診断ですからね。」



主人の心身ともに健康を守る、それも執事の役目だ。


毎年同じ医者らしいのでそこはルインもまかせている。
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