その赤薔薇を手折る時
そうつぶやきドアを押したその時だった。


「薔薇は赤がお好きですか?それとも白?」


背後から透き通るような声が聞こえた。

振り返った前には、黒髪の切れ目の男が薔薇の束をもって立っていた。


「は?」

おもわず間抜けな声がでてしまう。
誰だコイツ?

男はふっと笑うと、半分開いていたドアを手で押ししめた。

王子は追い詰められた格好になり、眉をひそめる。

「誰だ!」

「ボード家の坊ちゃんにございますね?」

「ぼっ!!」

あまりの言われように王子はキッと睨みつけた。

「おまえ!!だれに対して口をきいている!!」

そんな王子の様子にますます微笑む男。

追い詰めた格好から、ますます近くにより王子の耳もとに口をよせる。


「アスカ様、私はアスカ様の執事でございます。」

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