その赤薔薇を手折る時
「ねぇ、なんでお兄様は跡取りじゃないんですか?」
幼い時、よく兄に質問してた。
いつも、いつも。兄が心の底で自分を恨んでないか怖かったんだ。
「アスカと違って俺はね、体が弱くて病弱なんだ。そんな人にボード家の未来をまかせるなんて事できないからね」
兄は優しい。
笑って、笑って、嫌味なんて入らない言葉で答えてくれた。
「僕より兄様のほうがふさわしいです」
「誰がそんなことを言ったんだい?」
「・・・・母上」
僕は両親から嫌われていた。
勝手に生んだのはあいつ等なのに。
そう、兄が病弱で使えないとわかったから。
だから、僕を産んだ。
弱くない、未来をまかせれる、跡取りを得るために。
両親は子供がほしかったんじゃない。
言うことを聞く駒がほしかったんだ。