その赤薔薇を手折る時

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「おはようさん」



玄関ホールのドアをあけると、丸メガネをかけた老人が立っていた。

手には革の大きなバック。

白衣に身をつつんだ老人。

まるでサンタクロースだ。



「おまちしていました。」


ルインは深くお辞儀をした。


「連絡をさせていただいた者です」


「おお、アスカ君の執事ね。」


老人はホワっとした笑みを投げかけた。


ルインはコックリ頷き、老人を部屋まで案内しようと階段に足をかけた。


「主人がまっております。どうぞこちらへ」





螺旋階段を上がりながら老人は壁にかけられている絵画を興味深々に見つめた。



「すごいな。」


猫を抱いた女性の絵。

ダンスをする社交界の絵。

暖炉の前で居眠りをする子供の絵。



「すべて主人の趣味です。お気にめされましたか?」

ルインはポケットから手帳を取り出す。


時間、段取りはだいたいこの手帳に書いてある。



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