その赤薔薇を手折る時


「・・・・でも君の生活に響く事かもしれないよ?」


メガネをぐっと押し上げ、老人はアスカに詰め寄った。

神妙な顔をしている。



「いいんだ。」



プイっと顔をそむけてアスカは言い張った。
整った眉がきゅっと寄る。

秘密主義、というより頑固なだけだ。
それがアスカなのだから。



「かまいませんよ」



穏やかなルインの声がした。


老人は首を伸ばしてルインを見る。



「ん?」



笑顔で優しげ、そして穏やかな顔でルインはドアごしに立っていた。



「主人が話したくないのでしたら、私はそれ以上はけっこうです」


ルインはニッコリ笑って言った。


「しかし、」


笑顔のまま先を話す。



「本当に坊ちゃんは、頑固で性格がまがった、ひねた方ですね」



「殺すぞ!!」
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