その赤薔薇を手折る時
「坊ちゃま」
ドアのノックの音とともにルインの声がした。
アスカは包みを開きながら「はいれ」と命じる。
ドアが開き、一礼をしルインは中に入った。
「終わりましたか?」
クラウスはカルテをルインに手渡し、診断の結果を話しだした。
「成長に問題はないな、しかし視力が少し弱ってきていた」
「そうですか、困りましたね」
ルインは渡されたカルテをめくった。
「おや?」
「なんだ。」
「身長があまり伸びていませんね、もっと牛乳をお飲みにならなくては」
「・・・・うるさい!」
「視力が弱っていると」
ルインが顔をあげるとクラウスが割ってはいった。
「まぁ、個人的にいうとだがね。平均的にアスカ君の目はいい方だから」
「ふむ・・・坊ちゃま、寝る前に本をお読みになっているでしょう?あれをお止めにならないといけませんね」
「母親かお前は!本ぐらいいいだろうが」
アスカの頬が膨れる。
「いけません。暗い所で字をお読みになるから視力が落ちるのです。」
ルインの厳しい声が上がった。