その赤薔薇を手折る時

「なっ!」



見つめたクラウスの目が大きく見開かれる。


あきらかに嘘がばれて動揺している目だ。



「では、またお会いしましょう。」


悪魔のような笑顔を残してルインは車内から身を引いた。



笑顔のままドアを押ししめる。





「ごきげんよう、クラウス様」


動揺したままの老人をのせて、車は走り去っていった。


雨の音をのこすように。




「なにを話していたんだ?」


腕をくんで笑顔のルインを見上げる。



「いえ、なにも」



「・・・。」



「さて、坊ちゃま。雨が酷いようですので、町をでるのは明日にいたしましょうか」



「そうだな」



玄関のドアを開けてアスカを屋敷に入れる。



「シェフ特製のホットミルクでもお出しいたしましょう」



「遠慮する」




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