その赤薔薇を手折る時
トントン・・。
「坊ちゃま、ランチの準備が整いました。」
ドアの向こう側からルインの声がした。
「遅かったな」
ドアを開け部屋に入ってくるルインに向かって冷たく言い放つ。
何事にも動じない執事は、決まった笑顔で受け答えた。
「申し訳ございません。坊ちゃま」
*****
テーブルに着くと、ナイフとシルバーが皿にそっておかれる。
テーブルクロスは美しい深紅。
落ち着かない様子で、アスカは料理が運ばれるのを待った。
「今日のランチは魚介類のパスタでございます。」
トンっと目の前に置かれた皿を、アスカは穴があくほど見つめた。
・・・・。
「どうかなされましたか?」
「いや・・・。その・・・。」