その赤薔薇を手折る時
「勝手を言うな。」

張りつめた空気の中、アスカがわってはいった。

「僕はまだ認めていない。」

アスカはゆっくり男に近づき仁王立ちをする。
小柄な体から殺気がはなたれていく。

「執事だと?なにを抜かす。おまえのような無礼者が僕の後ろを守るだ?」

罵倒をあびせられているというに男は笑顔のままだ。

婦人はそんな男の顔をボンヤリしたまま見つめている。
この男はいったい?

「失礼ですが」

男は背広の内ポケットから一枚の紙を取り出した。
契約書のような物でボート家の刻印で封がなされている。

「この契約書どおり、私は雇われた身です。」


「叔母様からの物か?」

「はい」


{アスカ・セハロン・ボート

まずは、15歳の誕生日おめでとう。月日は速いものですね。

貴方が立派な後継ぎとして歩んでいくことを願っています。

ですが、貴方の歩むべき道は簡単なことでないでしょう。

無限にもおよぶ困難や修羅場があってこそ道です。

どうか私の15歳のプレゼントを有効に役立て、これからの道を歩いていってください。


叔母 ミシェル・ナイバート}

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