その赤薔薇を手折る時
アスカは中身を読むとため息をついた。

とんだプレゼントをくれたものだ。

「あくまでお前はプレゼントだ。」


やっと状況が呑み込めたアスカは手紙をポケットに入れ男から目をそらした。


「騒いでわるかった。今日は僕の誕生日を祝いにきてくれてありがとう。だが、急を用する話がはいったので僕は失礼する。」


「主役のいないパーティーなんて初めてだ。」

おもちゃ会社の若社長が皮肉をこめてつぶやいた。

演奏が始まったのを合図に人々は踊りや話を再開させた。


「僕についてこい」

アスカは男を横見すると出て行った。

「かしこまりました。」

笑顔の男はお辞儀をするとアスカについていった。

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