専業主婦生活＜その２＞
バタン！とドアが閉まって、大輔の足音がした。

大輔のスリッパを片付けて、ついでに下駄箱やその周りをさっと拭いた。『ついで』に掃除をするのが、習慣になっている典子だった。

リビングに戻るとテレビを消して、洗った食器を戸棚にしまう。そして、キッチンのタオルと布巾類を持って脱衣場に行き、洗濯を始める。

洗濯機を回しながら、洗面所とお風呂、トイレの掃除をする。

次に掃除機をかけて、軽く床をモップで拭く。その頃にはすべての洗濯が終わり、洗濯物を干しにベランダへ行く。

洗濯物を干し終わると、丁度、１０時半過ぎだ。

コーヒーをセットして、新聞をもってリビングテーブルに座る。コーヒーのいい香りが部屋中に充満してくる。楽しみに少しずつ集めているヨーロッパブランドのコーヒーカップから好きなものを一客選んで、ゆっくりと注ぐ。テーブルに置くと、テレビの脇の棚からお気に入りのボサノバのCDを取り出してセットして席につく。

コーヒーを楽しみながら、ゆっくりと隅から隅まで新聞に目を通す。専業主婦の典子にとっては、至福のひとときである。

新聞を読むことで、世の中の動きもわかるし、大輔との会話も少し広がっているように感じている。

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