櫻吹雪

昔アタシは菅野のことがそんなに嫌いじゃなかった。


話したことが一度だけあった。



弥『お前さ、嫌そうな顔していつも参加してるよな』

紗『…は…？』

弥『そんな顔で
堂々と歩けんのかよ』



弥生は
友達でさえ分かってくれなかったアタシの思いに気づいてくれた。


なのにどうして


あの時差し伸べてくれた手を
握ることが出来なかったんだろう。



いつの間にかアタシは


“友達”の作り方を忘れてしまった。



幸せってなに？



これからもこんなふうに生きてくこと？


置いてかれるのが怖かった。


だから友達にあわせてれば

１人にならないと思った。


変わっていく友達に
自分１人だけ

おいていかれたくなかった。



「ユリア〜高校なんてやめなよ！」

「そうだよ〜学費払わなきゃいけないし！」

「ユリアなら
この世界でずっとやってけるよ！」



違う、アタシは【ユリア】じゃない。


アタシの名前は“サキ”でしょ…？



噂話をして笑ってるみんな。


後輩をいじめて笑ってるみんな。


こんな仲間がほしかったの？

アタシは…

１人ぼっちじゃないの…？



紗「ゴメン、気分悪いから先帰るね」



アタシはそう言い残し
アパートの自分の部屋に駆け込んだ。


バタンッ!!!


…シーン…。



紗「…ハハハ…
…ハハ…、」




結局、アタシは

１人じゃない。



紗「うっ…、」



『学校で問題ばかり起こしてるんでしょ？』

『そんな子引き取れないわ』

『他あたってくれますか』

『藍川…お前はどうしようもないな…』

『藍川お前だろ？』

『サキ！聞いてんの！？』

『ユリアちゃん！今日もよろしくね！』

『ユリアちゃん…』




うっさい。


紗「ぅ…、
うわぁあ!!!!!!」


ガシャン!!!

アタシは物に当たりながら


泣き疲れて、そのまま深い眠りについた。