櫻吹雪
弥「どした?」

マ『ちょっと付き合えよ』

弥「うんーいいよ暇だし。今ドコ?」

マ『お前んちの前』


シャッ


カーテンを開けた。

窓の向こうには単車にまたがってこっちを見るマツリ。


弥「無免運転。
パクられろバカ野郎」

マ『親父のだからいーんだよ』

良くねーよと思いながら適当にラクな格好で家を出た。


マ「居酒屋でも行くか?」

弥「何か話あんだろ」

マ「…おう」

弥「だったら別にどこでもいい」

マ「…やっぱ飲む気分でもねぇから…

ファミレスいくか」


単車は大きなエンジン音とともに走り出した。



うちらが居酒屋にいかないときは何というか…少し真面目な話や相談が多い。


そしてアタシは大体マツリの話は予想がついていた。


…多分、ヒマのことだろう。


───────…

ザワザワ…


マ「あれ?大食いのお前が今日は飲みモンだけかよ?」

弥「ああ、まあ

サキのハンバーグが待ってるからさ」

マ「へー…

つーか絶対お前連れてきたら奢りだからなぁ」

弥「あーあったね
…あ!中3の時の覚えてる?」

マ「…?
………あ!笑」

弥「アタシが食べ過ぎて2人の有り金でも全ッッ然足りなくてさ!!笑」

マ「お前がレジんとこでイライラしだして器物破損だよな!!??笑」

弥「マツリも“お前落ち着けよ〜”とかめっっちゃ冷静にタバコ吸い始めたからな!!笑」

マ「あーアレはかなり無意識だった!笑」

弥「あのタイミングでヒマ来なかったらうちら普通にポリ所行きだったよな!!笑」

マ「ああ、あの店には二度と行けねー!笑」




弥「…結局その時もヒマに助けられたっけ…」

マ「…そうだな…」




弥「…優しいよな…」

マ「…ああ」

弥「…金持ちで頭良くてボンボンなのに…

…しっかりしてて世話焼きで…」

マ「…ああ」

弥「…アタシは個人的にあの小さな手がスキだな」

マ「………」

弥「…大きくないのに

…守られてる気がして…」

マ「…ああ…

…そうだよな…

…優しいよな、アイツは」
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