櫻吹雪
マ「…だからこそ心配なんだよ」

弥「………うん…」





──中3 11月


マ「三条中のツキミソウ?」

弥「誰ソレ」


「ハイ、一匹狼なんスけど、なんか最近派手に暴れ回ってるらしいんス…」

「茶色い目に
金髪を立てた頭が特長らしいッス…」



弥「…興味ねぇー…」

マ「お前が興味あることは何なのか逆に聞きてえよ」


「先輩たちヤバいっすよ…」


「「あ?」」


「先輩たちが負けるなんてことは有り得ないんスけど…


あのキレたらヤバいって有名な
“毒サソリのストール”

黄金姫の総長
“尊王イッシ”

さっき言った
“月光ツキミソウ”

大釜中の頭
“辻斬りライオ”


全員先輩たちに目つけてるって…」


マ「来るならつぶすだけだよ」

弥「んだなんだな」



(何て危なっかしい人たちだ…;;)



─────────…


ヒマワリのようになりたかった。


『田口、凄いな!
テスト全部90点後半!
学年で二位だぞ!』



『まあゆうくん!
全部満点?一位じゃない!凄いわね〜!』


だけどなれなかった。



いつだって俺は
一番にはなれなかったから。


一個下の弟のほうが優秀で

いい子でいる意味がわからなかった。



自分に価値があるかなんてわからなかった。


俺には何もないんだ。


ただそうやってうつむいていれば

影を見つめるのが苦しくなってきた。



だけど上を向くには太陽は眩しすぎて

偽りだらけで出来上がった自分を大事にしてしまうんだ…。


上を向くと

その仮面が壊れてしまいそうな気がして

怖かったんだ…。



『チッ…』



イライラする。

何のために俺は生まれてきたんだ。



中1の後半になれば学校にいかなくなった。


だから嫌われた。


だから俺も嫌った。



つまらないんだ。
毎日が。


見えないんだ。何も。
暗すぎて。


灯りをともす方法さえ

わからないんだ。
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