櫻吹雪
今だって、たまに思うんだ。


“宿題なんだっけ”
とか
“勉強しなきゃ”
とか。



中学受験が失敗したあの日俺は言われたのに。


“できの悪い子…”



…見捨てられた気がした。

“いらない”って言われた気分になって。


自分には何も出来ないんだって。


そう思った。



勉強が好きになれなかった俺が

自分自身に負けただけなのに。



全国クラスの名門塾の裏。人通りの少ないところ。


同い年くらいの女の子がいた。





ヒ「…アンタ疲れてんの?
…コレやるよ。」


「……え…。」


こういうタイプが
誘惑に乗りやすい。


「…え…あの…、」


ヒ「スッキリするよ〜
全部忘れられるし

特別価格の2000円」


「……………、」


悩んでる様子。


オドオドしてる。




しばらくして、鞄から財布を取り出した。


「…か…買います…」



…よし。

人目を気にしながら金を受け取り、俺は例の物を渡した。



…この子は今

どんなことを思いながらクスリを手にしているんだろう。




…もう、どうでもいいか。



「…あ…あの…」


ヒ「あ?」


「ずっと………

………っ!!!!!!!」




ガァン!!!!!




女の子が俺の後ろを見て驚いた顔。



それを最後に俺の体は激痛と共にゴミ捨て場に突っ込まれた。



ガシャァン!!!



暗い人影が近づく。



暗い、暗い。



暗い、はずなのに。



あの時と同じ…





マ「おめぇ何やってんだよ!!!!!!!!!!!!!!」





光が差した。
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