櫻吹雪
あの時の…


そいつは女の子の手からクスリを取り上げ

俺の手からも金を取り上げて女の子の方へ放り投げた。



女の子は怯えてそのまま走っていった。


ガァン!!!

ガァン!!!


そいつは未だに倒れている俺を何度も殴った。



痛ぇ…


こんなに痛いのは初めてだ。


反撃する間もあたえない。


そいつは俺の胸ぐらを掴んで思い切り引き寄せた。



初めてしっかり見たそいつの目は

威圧感が凄くて
初めての“恐怖”という感情を覚えた。




マ「…俺よぉ…

…お前のこと知ってたんだよ…」


ヒ「…………?」


マ「昔…新聞で見たんだ…

…秀才塾の生徒のインタビューでよ…


雰囲気もすげぇ変わってたけど…

…お前が帰ったあとに思い出したんだ…」



ヒ「…………、」



マ「お前死んでんじゃねぇよ!!!!!!!!!!!!」


ビクッ!!


真っ直ぐに叫ぶそいつの目は真剣で

体中がビリビリ震えるのが分かった。



マ「おめぇは必要なんだよ!!!!!!!!!!!!!


腐んじゃねえよ!!!!!!!!!!!!」



必要…



マ「お前の力はこれから…

たくさんの人を救うんだ!!!!!!!!!!

お前の力はより多くの人を守れんだよ!!!!!!!!


たくさんの人の役に立つんだよ!!!!!!!!」



人を救う…



マ「正しいことが分かんねぇなら俺が一緒に見つけてやる!!!!!!!!!


俺はお前の力が…」



何の恥ずかしげもなく

そいつは叫んだんだ。





マ「お前の力が必要なんだよ!!!!!!!!!!!!!」





たった1つの小さな光が…


俺には眩しく光る


太陽みたいに思えたんだ…。


明るく照らしてくれる


言葉があって…


その夜に俺は



声をあげて泣いたんだ。
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