櫻吹雪
弥「はぁーあっ」


マツリのやつ…


弥「ムカツクー!!!!」



ピリリリリ

ピリリリリ


ん?サキの携帯?


リビングのほうでサキが何かはなしてる。


そっと近づいて話を聞いてみたり。


サ「え!?今から…
…えーと…でもまだ洗い物残ってて…」


ひょこっ


弥「さーきー(小声)」

サ「!?」

弥「アタシやっとくから行っておいで(小声)」


そう言うと
サキは顔の前で手を合わせた。


…電話の声は多分ヒマじゃなくて

ストール主催の合コンで知り合った男。


サ「ゴメンね弥生!」

弥「いーよいーよ!
それより彼氏になるかもよ!?笑
がんばれっ!」


サ「…ありがとう」


照れながらお礼を言うサキ。

ヒマかその男か…本命はどっちなんだろ?笑



─────────…


弥「ふぅー…終了…」


サキが残して行った少しの洗い物を熱心にやりとげ、息をついた。


時計を見れば時刻は
11時30分。



…サキが出て行ったあとの部屋は、物凄く静かで。


弥「……はぁ。」



1人テーブルに突っ伏した。


チッ チッ

チッ チッ



時計の音が聞こえる。

そんなこと、ここ最近なかった。


どうしてだろう。


今までずっとそうだったのに。

孤独には慣れてるはずなのに。


いつの間に…

またこんなに苦しくなって…



“用ねぇならかけてくんなよな…”



たしかに大した用じゃないよ。

だけどさ…


いつも世話になってんじゃん。


ふざけあってて中々言えないんだ。


だから今日だけはさ


今日は特別だから



弥「“いつもありがとう”って…素直に言いたかったんだよ…」



消え入りそうな声。


アタシはこの孤独な世界にいたくなくて

サキが帰ってくるまで外にいようと思って


玄関を飛び出した。
< 65 / 79 >

この作品をシェア

pagetop