櫻吹雪

ス「…やぁちゃん、…ケガはない…？」



弥「…てめぇの心配してろよ…、」


今にもこぼれ落ちそうな涙をこらえて
生意気に笑った。

笑顔になっていたかは、分からないけど。



ス「…よかったぁ…」



弥「…………っ！」


何て顔してんだよ。

アタシはアンタを守れなかったのに。

ストールは、アタシの顔をジッと覗き込んだあと
本当に安心したようにフワッと笑った。

その笑顔を見ていられなくて、

こらえていた涙が溢れそうで

グッと耐えるように口元に手を当てた。



ス「…なあ、やぁちゃん…もしかして自分責めてる？」

弥「…え…、」

ス「マツリくんも…そんな顔してたんだ。」

弥「…マツリ…、」



ス「俺の勝手にやったことだからさ、気にしなくていいんだよ？」



ゆっくりと起き上がって、アタシを真っ直ぐに見るストール。


弥「…勝手なこと!!?
ふざけんなよ!!!オメェはそうかもしんねぇけど仲間…」



ス「弥生ちゃん！」



アタシの声を遮って、ストールが名前を呼んだ。


弥「…………、」





ス「…俺が大事なのは…、ナンパで知り合ったたくさんの女の子でも
自分の体でも名誉でもねぇんだよ…、」





弥「……………っ」





ス「…みんななんだよ…、」





久しぶりに聞くストールの真剣な低い声。

最後の消えそうな声を聞いた瞬間、アタシの目からは涙が溢れだした。



弥「…な、泣かせんじゃねぇよ…」


必死に涙を拭うアタシ。


弥「マジでありえねぇし…、

…お前退院したらぶっ飛ばすかんな…」


ストールに見えないようにそっぽ向いて
鼻をすすると


ス「…ははっ！」


笑った。