【短】隣のお兄ちゃんと私
1人あわあわとパニクっている私の耳元で、お兄ちゃんが喋り始めた。


「なあ、奈美」

「は、はいーーー?」


耳元で喋られるということは、その吐息が耳にかかるわけで。

そして、声が耳に響くというわけで。

私はぞわぞわと身体を走り抜ける感覚に翻弄されて、変な声で返事をしてしまった。


「なんで、俺と急に会わなくなったんだ?」



その疑問が口にされた瞬間。私の血の気はさーっと下がっていった。

やっぱりお兄ちゃん気づいていたんだ!!


「な、なんのこと?」


でも、理由を聞かれても答えられるはずもなく…とりあえずしらばっくれる。


その返答にふっと鼻で笑ったお兄ちゃんは、反論は許さないといわんばかりにさらにきつく抱きしめる。


い、いやーーー!!離してーーーー!!


そういいたいけど、好きな人に抱きしめられて極限状態に陥っていた私は、うまく喋ることができず。


結局その状態で喋り続けることになってしまった。
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