【短】隣のお兄ちゃんと私
「あ…あたしね…」

「うん?」


お兄ちゃんが優しく促していることに勇気付けられ、呼吸を整え一気に言ってしまう。


「おおおお兄ちゃんが好きだったの!!!」



ふう…言ってしまった。

ずっとずっと封印していた気持ちを。

なんでこんな流れになるのか…きっと真っ赤になっているであろう自分の姿を想像して、恥ずかしさは10倍だ。



ーーーくくっ



何も言ってくれないお兄ちゃん。

でも、ぎゅっと抱きしめられているため、後ろを振り向くこともできずに生殺し状態の私を襲ったのは、こきざみな振動だった。



…振動?




「あっははははは。お…お前…『おおおおお兄ちゃん』って、どもりすぎだろ!」




めったに見れないお兄ちゃんの笑いに喜ぶべきか、一世一代の告白を笑われたことに怒るべきか、はたまた悲しむべきか…


私は本気で迷った。

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