彼とあたしの秘密の事情

人との別れがこんなにさびしいのは
初めてだ・・・


涙がとまらない・・・
あたしは結局、下を向いたまま

淡々と話す凌さんの声を聞いていた



『本当は今日、皆様の前で正式に発表
 させていただくつもりだったんですが、
 こちらの手違いで、あのような発表に
 なってしまったのは、お詫びいたします』


凌さんは、そういうと深々と頭を下げた


『今回の移籍は、自分がどこまで通用するか、
 もっともっと上達するためにということで
 移籍を決定しました』



これ以上、挑戦しなくたって・・・

きっとこう、思ったのはあたしだけじゃ
ないだろう。


ここにいる、みんながきっとそう思っている


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