ごめんね、ありがとう…先生
(そうだ)



拓哉はボールペンをわざと沙依の近くに落とした。



そして小声で

「香山。今から渡部先生に言うこと頷いて」

沙依は頷いた。



(何言うのだろう)




先生にとっては、教師として当たり前のことだったのかもしれない。
渡部先生の誘いを断るためだけだったのかもしれない。



けれど、私にとって、その時間はとても幸せな時間だったんだ。

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