ごめんね、ありがとう…先生
その日の夜。拓哉は鈴奈に電話した。


「もしもし?」
「もしもし。鈴奈、明日暇か?」
「予定入ってるけど……。どうしたの?拓哉」
「いや、チケットが一枚余っててさ……。予定入ってるんじゃ仕方ないか……。サンキュー、鈴奈」


「ちょ、ちょっと待って!」


拓哉が切ろうとした瞬間、鈴奈が声をあげた。



「なんだよ」


しばらく待っていると少し小さな声が聞こえてきた。


「もしもし?」


出たのは沙依だった。



「あ、あの!」
「なんだ?香山」
「その…私じゃダメ…です…か?」
「明日か?」
「は、はい!」
「いいけど……。親御さんには話しておけよ」
「はい!」
「じゃあー。鈴奈に代わってくれ」


「鈴奈。先生が代わってだって」



「もしもし?」
「麻美さん達、今年も温泉行ってるのか?」
「行ってるよ。明日は私は昼から出かけるから家にはお兄ちゃんだけだよ」
「瑞樹か…」
「うん。沙依は今日泊まってくけど」
「じゃあ…6時くらいに迎えに行くから。…瑞樹にも言っといて」
「了解しました」


そういうと、電話を切り、沙依に明日のことを話した。







瑞樹には翌日の朝に伝えた。
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